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Unityでゲームを作る方法について紹介しています

ゲーム企画書ってどう書けばいいの!?(ふりかえり記事)

インディーゲーム支援企画に応募するために、ゲーム企画書を書いています。


企画書を書くにあたって、ゲーム業界特有の専門用語にぶつかりました。

ニュアンスを理解するのに時間がかかるものもあります。ふりかえりと共に、分かった範囲でまとめます。

企画書の目的

企画書の目的は、企画を伝える事です。伝え方は、相手によって違います。


よく知られているのは、就活時にゲーム会社に提出する企画書です。

就活用の企画書は、内容の斬新さよりは、伝えたいことをゲーム会社内で働く方に伝える力があるか、その応募者が採用に値するかを見るために使われます。


一方、開発の現場で使われる企画書は、伝える力がある前提で、面白そうか、投資に値するかを判断するために使われます。

企画書の構成

両者とも、必要な情報は共通しているようでした。ただし、就活向けは、より少ないページ数で伝える必要がありそうです。


以下が、ゲーム企画書に必要な項目と目安ページ数です。

項目 企画提案 就活
プレゼン先 投資主 採用決定者
目的 投資に値する? 伝える力ある?
ページ数 ~8ページ ~4ページ
キャッチ p.1 x
ターゲット・ジャンル・プラットフォーム p.1 p.1
コンセプト p.2 p.2
ゲーム画面 p.3 p.1
ゲーム説明(メインループ) p.4 p.2
ギミック p.5-p.7 p.3-p.4


各ページの説明は後述します。

かかった時間

実際に上記に沿って書いてみたところ、一日2時間(土日4~5時間)の作業時間で9日かかりました。実働時間(手を動かせた時間)は22時間ですが、思考時間まで含めると、企画が固まるまでに1週間くらいかかりました。

day やったこと 課題
1 書きたい内容の列挙 -
2 メインループ確認 -
3 目次 ゲーム業界ならではの書き方(専門用語など)
4 コンセプト 経営戦略シミュレーションの一般的なイメージ→自分のと違う…
5 コンセプト(続き) ゲーム体験の再検討(方向転換)
6 メイン画面 -
7 全体構成 -
8 イメージ当て込み -
9 修正→完成 -


書いてみて感じたのは、企画書はあくまで伝える手段で、テンプレートは最低限考えないといけない質問表のようなものだと感じました。

ゲームのコンセプトからメインループまでイメージできてないと、書くことができません。


以下に、各ページのポイントをまとめました。特にはじめて企画書を書く方にとって、お役に立てる情報があれば幸いです。

企画書のテンプレート

ゲーム企画書に必要な項目は以下の通りです(再掲)

項目 投資依頼 就活
プレゼン先 投資主 採用主
目的 投資に値する? 伝える力ある?
ページ数 ~8ページ ~4ページ
ターゲット・ジャンル・プラットフォーム o o
コンセプト o o
ゲーム画面 o o
ゲーム説明(メインループ) o o
ギミック o(2~3) o

誰に説明するかによって、他にページを追加したり、特定のページを圧縮したりします。

真っ先に思ったのは、ストーリーの説明をするページが無い ということでした。ストーリーや設定は、上の項目に落とし込む必要があります。


このテンプレートから分かるのは、ゲームの企画は、やりたいこと→画面→メインループ→その他の画面→ギミック→やりたいこと(再考)

を繰り返してイメージを膨らませる、ということです。

(参考)
集キャンクリエイターズキャンプ
ゲームデザインラボ(Twitter)


以下に、各用語の説明と、分かった範囲で発想の仕方をまとめます。

コンセプト

ゲーム開発におけるコンセプトは、ゲームを通じて実現したいことで、ゲームを貫く一貫性でもあります。

一般的な意味は、英語のconceive(心に抱く)の名詞形で、日本語では「概要」と訳されますが、単純に思い描いている、何か漠然とした全体を貫く方針のような意味と考えられます。


集キャンBBQによれば、コンセプトはUXとあります。
【ゲーム企画 BOOT CAMP!!】Part2 コンセプトは迷える開発者の指針!|集英社ゲームクリエイターズCAMP|note


…悔しいくらい全くイメージが湧かなかったので、少し違った角度から考えてみました。


ゲームが、何らかの体験をもたらしながら、何らかの達成感を与えてくれる、独特の雰囲気を与えてくれる時間・空間とすると、コンセプトは以下のキーワードを含むと思いました。

要素 品詞 表現
体験 動詞 ~しながら(with -ing)
目的 動詞 ~する(-do/achieve)
差別化・特化ポイント 形容詞 ~な(like)
ゲームジャンル 名詞 '~ゲーム


一文にまとめると、こうなります。
「(体験)しながら(達成感)する、(独特の雰囲気)な(ゲームジャンル)」


このテンプレートで、本当にコンセプトを抽出できるか試すために、恐縮ながら、ドラゴンクエストファイナルファンタジーを例にしてみました。

ドラゴンクエストなら「誰でも努力すれば勇者になれる」がコンセプトと言われますが、よりゲーム体験に即して表現すると
レベルを上げて竜王を倒せ!広大なフィールドを旅するウルティマライクRPG」かもしれないし、

ファイナルファンタジーなら、より属性やバフによる弱点を突く戦闘の面白さに振っていると見た場合、
能力を駆使して弱点を突け!属性が戦局を左右するリアルタイム戦略バトル」かもしれません。


キャッチ―にするには推敲がいりますが、なんとなくコンセプトらしきものが抽出できた気がします(自己満足)


これは、セールスレターのベネフィットの考えに近いように感じました。

(※補足:ベネフィット(benefit)=利用者がサービスや商品から得られる効果や利益。たとえば扇風機の「特徴」は風を送ることですが、その「ベネフィット」は、暑い夏の日に、外から帰ってきたときに、スイッチを入れるだけで心地よい風を心身が満たされるまで扇ぎ疲れることなく送ってくれる、といったように(文のセンスはおいといて)、対象から得られる体験を指す)

特徴でなくベネフィット、つまり機能でなく、誰が、どこで、どんな嬉しいことがあるのか、どんな困りごとを解決してくれるか、これがゲームにおけるコンセプトになるのではと考えました。


こう考えることで、コンセプトは自動的にゲーム全体を貫く一貫性になり、同時にターゲット(誰が)、プラットフォーム、ゲームジャンル(どこで)とも結びつけることができます。

ゲーム画面

ゲームのメインとなる画面です。

ほとんどのゲームは、少なくとも2つ以上の画面で構成されています。また、同じゲームジャンルでも、コンセプトによっていちばん重要な画面は変わってきます。

コンセプトとの一貫性の中で、何がメイン画面なのかを考える必要があります。


先ほどの例に当てはめると、

ドラゴンクエストファイナルファンタジーは、いずれもジャンルとしてはRPGで、フィールド画面と戦闘画面とを行き来しますが、

ドラゴンクエストは「誰でも勇者になれる」=フィールドを旅して竜王討伐の手がかりとなる宝や情報を集めていく、がコンセプトだとしたら、フィールド画面がメイン画面かもしれないし、

ファイナルファンタジーは、クリスタル=属性の象徴と、能力の選択にフォーカス、がコンセプトだとしたら、戦闘画面がメイン画面かもしれません。


後述するゲームループを考えながら、そのゲームを特徴づける画面はいったいどれなのか、で選ぶことになると思います。

ゲームの説明

ゲームの説明ですが、企画を見る方にとって一番関心が高いのは、何を繰り返すか、つまりゲームのメインループです。

ゲームの説明と聞くと、文章でゲームの概要を説明するイメージを持つ方が多いかもしれませんが、過去にゲーム会社の方に依頼して作っていただいた企画書では、ゲームのメインループの説明でした。


先ほどから取り上げている例で考えると、

ドラゴンクエストファイナルファンタジーも、基本は戦闘とフィールドのループになるのですが、RPGというキーワードによって、戦闘とフィールドがメインループであることが共有されている場合は、もっとゲームの独自性に踏み込んだ内容に絞り込むことになります。例えば、

ドラゴンクエストのおもしろさが、フィールドを旅して竜王討伐の手がかりとなる宝や情報を集めていく、だとしたら、情報を集める→探索する、宝を見つける→強くなる、にフォーカスすることもできるかもしれないし、

ファイナルファンタジーのおもしろさが、覚えた能力や見つけたアイテムを試して敵の攻略法を探っていく、だとしたら、能力を使う→敵の攻略法を見つけていく、にフォーカスすることもできるかもしれません。


ゲームのメインループのスコープを縮小させることで、コンセプトをよりスコープの絞ったものに変える(選択と集中)必要が出てくるかもしれません。

ギミック

ギミックは「罠」や「仕掛け」の意味のようです。

ゲームでよく聞く《ギミック》の意味とは?【ゲーム用語集】| Pacific Meta マガジン


…これも少しわかりにくいので、ギミックは葛藤=駆け引きを生じさせるもの、という前提で、アプリとゲームの違いから考えてみました。

一般的なアプリは、できるだけ楽に=少ない操作(アクション数)で目的を達成できるように作り込みます。

それに対して、ゲームは、目的を達成するまでのアクション数を増やすように作り込みます。


たとえば、ドラクエが仮にアプリとして作るなら、スタート開始からいきなりレベルMAX最強武器で、スポーン地点から一歩歩いて扉を開けたら即ラスボス、感慨深い至悪の計略も話半ばに、ラスボスをワンパンでノックアウト、即姫回収でエンディング。

これなら楽だと思います。


しかしゲームはその逆で、レベルという概念でラスボスまでの距離を置き、主人公を邪魔する敵を発生させ、武器にお金を払わせ、見つけないと先に進めない鍵と扉をちりばめ、思わず寄り道して探したくなる宝箱を設置し、できるだけ目標達成への障害を置くことで、長くゲーム空間にプレイヤーを滞在させる(=体験する)ように設計します。

その意味で、興味を惹かせてわざと長く滞在させたり、簡単なものをわざわざ煩雑にしたり難しくしたりして、「攻略したい」と思わせたりするものは「葛藤=駆け引き」を醸成する=ギミックと言えるのではないか、と思いました。

(報酬回路を刺激したり、負荷を与えて「こんちくしょう!もう一回やってやる!」と思わせたりするもの)


ドラゴンクエストなら、

●経験値を得てレベルを上げる(レベルアップ)
ゴールドを貯めて強い武器を買う(武器屋・道具屋)
●鍵が無いと開かない
●街の人から情報を聞かないと見つけられない
●まっすぐ洞窟の出口に向かえばいいのに寄り道したい気持ちにさせる宝箱

これらはある視点から見たときにギミックになります。

(参考)
tatsuya-koyama.com

ギミックは、苦痛だけでなく、結果的に達成感や快感を与えるものである必要があると思います。


以上です。

多分に間違っている部分もあるかと思いますが、無いよりはこういう解説もあった方がいいかもと思って書きました。お役に立てば幸いです。

参考

昨年あたりから、インディーゲームクリエイターへの支援が盛んになってきました。今後は企画書を書く機会が増えそうですね。


集英社(年2回、開発費上限なし、1名)
game-creators.camp
講談社(年4回、開発費1000万、年5名)
creatorslab.kodansha.co.jp
iGi (indie Game incubator)(パブリッシング、メンタリングサポート、開発支援金あり)
igi.dev
バンダイナムコ(開催待ち、開発費3000万)
indie.bandainamcostudios.com

他にもあります。

(以上)