ゲーム化!tomo_manaのブログ

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Unityでゲームを作る方法について紹介しています

ゲーム×クラファン#2 マインドセット

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この記事は、クラウドファンディングに挑戦しようとした時に出てきそうな心配事と、クラウドファンディングに挑戦するメリットをまとめました。

はじめに

個人でゲームを作る開発者にとって、クラウドファンディングは資金獲得の手段の一つとなり得ます。クラウドファンディングに挑戦するにあたり、アプリ系ゲームでの事例を調べたとき、海外での事例(Kickstarter)はそこそこあるものの、国内ではカードゲーム・ボードゲームが多く、アプリはまだ事例が少ないと感じました。

私自身がクラウドファンディングに挑戦するにあたって、今後、私を含むプロジェクト初心者が十分な事例研究をして臨めるよう、私の方で調べた内容を公開することにしました。

記事への感想は、メールまたはTwitterで受け付けます。一連の記事を読んで、挑戦してみたいと感じた方や、気になった点、間違っている点などがありましたら、連絡いただけましたら幸いです。

記事へのリンクを貼っていただくのは構いませんが、勝手に記事をコピペ・編集して、自分が書いた記事のようにふるまうこと(盗用・剽窃)はやめましょう。わたしもそこまでお人好しではありませんので、一連の記事が私にとってもWinになるように公開しています。

クラウドファンディングを行う時のマインドセット

クラウドファンディングをすれば開発資金を集められます。しかしその一方で、クラウドファンディングについて相談できる人が周りにいない中で、初めてクラウドファンディングに挑戦するとなれば、心配事も出てくると思います。

私自身、今回が初のクラウドファンディングで、決意するまでにたくさんの懸念があったので、どのような心構えでいればよいのかを書籍やインターネットを参考にしながら、自分自身にしっくりくるものを探究しました。


今回はクラウドファンディングを行う時のマインドセットについて考えます。

ここで言うマインドセットとは、クラウドファンディングを行うための心づもりや覚悟を指します。

クラウドファンディングを行うことへの心配事

先に、クラウドファンディングを行うに当たり、考えられそうな心配事をいくつか挙げてみました。

(心配事の例)
①失敗したら恥ずかしい?
②揚げ足を取られたり、炎上したりしないか?
③クレーマーが怖い?
著作権を侵害していないか?
⑤お金をもらうのが怖い?

これらの心配事に対して、どんなマインドセットを持つことができれば良いのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。

①失敗したら恥ずかしい?

クラウドファンディングを見かけると、1円も得られずに終了したプロジェクトや、最終日まで残り数日なのに支援者が1~2人しかいないプロジェクトをよく見かけます。また、何にお金がかかるかはっきりしないのに、最初の目標金額が異常に高いものや、目標金額を低く設定したにもかかわらず、目標に届かなかったプロジェクトなどを見ると、心の中に様々な感情が湧いてくるのではないでしょうか。


失敗の心配については、第1回のやり方に従えば、リスクは軽減できます。
tomo-mana.hatenablog.com


オンラインで全く支援が得られないことについて、恐れる気持ちが出てくるのは無理もありません。目標に届いていないプロジェクトを見てあなたが感じたことを、あなたが行うプロジェクトについても、他の人も感じるかもしれません。

しかし、どんなプロジェクトにも、一人ならず投資した人がいたわけです。今後、付き合っていく人は、自分に投資してくれた人になります。プロジェクトの失敗を笑う人たちは、自分たちも同じ目に遭うのが怖くて、プロジェクトに挑戦できないだけかもしれません。

もし、支援したい人がいたのに、全く支援が得られたなかったとしたら、ランディングページに問題があったか、サービスに魅力が無かったのか、それとも欲しいと思っている人に見てもらえなかったのか、次の仮説を立てて検証していくことになります。

どうしたら問題を切り分けられるだけの情報をクラウドファンディング中に得られるかを考える必要があります。(この点は私も模索中ですので、別の回で取り上げられたらと思います)

②揚げ足を取られたり、炎上したりしないか?

ちょっとした言葉のあやで炎上したり、あるいは重箱の隅をつつかれたりなど、気が付かないことで足元をすくわれてしまう心配はあると思います。

ランディングページは、できるだけ、同年代の近しい友人だけでなく、他の年代の人にも目を通してもらえるようにすると良いかと思いました。若い人であれば年配の方に、年配の方であれば若い人に、それぞれ見てもらうと良いかと思います。できれば利害関係が無く、悪いところを率直に言ってくれる方が良いと思います。

また、思ったより見られている心配もありますが、思っていたより見てもらえない心配に目を向ける必要があります。実際にSNSなどで、オフラインで知り合った人以上のフォロワーを獲得しようとした時、よほど華々しい実績を挙げている人でない限り、急に多くのフォロワーを得ることは稀です。

それと同じく、揚げ足を取る場合、よほどランディングページが気に障る内容か、あるいは、あなたが複数の人に話題を共有されるほど有名である必要があります。話題を共有できなければ、揚げ足を取ったり、炎上させたりするのは楽しいことではないと思います。

③クレーマーが怖い?

オンラインで支援を募る場合、支援する人の顔が見えない怖さはあります。また、支援と聞くと、相手はお金持ちの人を想像するかもしれません。

実際には、支援者の中にはクラウドファンディングの挑戦者と同じくらいの収入の方も多いと思います。また、オンラインでの支援者は、わざわざ自分と同じクラウドファンディングのサイトに銀行口座かクレジットカード情報を登録してくれているので、ある程度投資したい、応援したい気持ちでいる人の可能性が高いです。

支援者も、あなたがプロジェクトをちゃんと遂行するのか、投資したお金を持ち逃げしないか心配しています。

あなたが怖いと思う人を一通り書き出してみる方法はあります。出てきた特徴を整理します。もしそのような人たちが出てきたとしたら、プロジェクトにどんな注意事項が書いてあれば良いかを考えます。できれば信頼できる友人、家族などと相談して、ケースの洗い出しをしておくのも心理的安心感を得る上で役に立つと思います。

支援者したことがある人は自分の挑戦でも成功することが高いと言われますが、それは自分が支援した相手が自分にも支援し返してくれるなどの応報もあると思いますが、その他に、挑戦者自身が支援者の立場を理解している(支援者がクレーマーになる理由が想像できる)からではないかと推測しています。

著作権を侵害していないか?

著作権侵害は、クラウドファンディングを行う前に、必ずチェックしておきたい項目の1つです。フリー素材や有料であっても第三者から借りた技術でサービスを提供する場合、利用可能な範囲、著作権表示を確認し、著作者をリスペクトする(著作者を宣伝するなどのメリットがあるようにする)態度が必要です。

ただ、著作権法の遵守は必要ですが、意図しないところで著作権違反を犯しているかもしれないと不安になって行動しないのであれば、行動したらよいかと思います。著作権で裁判になるのは、著作者があなたからお金が取れると判断した時だけです。

もし裁判になった場合、あなたに十分に利益が出ているのであれば、弁護士や専門家に頼ることも可能だと思います。

あるいはちゃんと謝罪し、支払いできる範囲で支払う。そうでなければ、あなたの開発費を正直に示し、あなたからお金を取ろうとしてもムダであることを相手に示すことになると思います。ただ、素材の提供者に感謝を示せないのであれば、全部自分で作る方が良いと思います。

これだけインターネットが普及して、情報が氾濫する現在、誰とも全く被らないネタは存在しないと思っていれば間違いないでしょう。ほとんどの独自性は、他人のネタ同士を組み合わせたものが、他人のネタに少しアレンジを加えたものです。
ただ、意図的に真似ておきながら「これは真似じゃない」と言い切ったり、いわゆる自分のモノ発言(剽窃)はやめましょう。先ほどと同じように、著作権があるなしに関わらず、先駆者をリスペクトしましょう。

「すでに同じような内容でクラウドファンディングをしている人がいるから、やめておこう」と思うのであれば、やってみるべきです。それが新しいジャンルの構築と捉えることができないか考えてみましょう。例えば、同じゲームカテゴリ内でも、一つのジャンルとして確立しているVTuberデビュープロジェクト同士を見比べることは、参考になります。先駆者が作ってくれたジャンルの構築に自分も協力して、新しい流行を創り出す気持ちでいたら良いのではないでしょうか。盗めば敵になりますが、リスペクトすれば仲間になります。

自分が真似される懸念もあるかもしれません。誰でも閲覧できる場所にあなたの履歴を残すことは防御になりえます。あらかじめブログやSNSなどで情報を開示しておき、自分の潔癖を示す証拠を残すこともその一つだと思います。

著作権違反以外にも、何かの表現がひっかかって、意図せず人を傷つけてしまうことはあるかもしれません。その時は謝るしかないと思います。また、悪いことをしようとしていないのであれば、自分の立場を証明し、堂々としていればよいと思います。

⑤お金をもらうのが怖い?

ランディングページの書き方や支援金額の提示の仕方によりますが、特にお金の使途に筋が通っていなかったり、やたら懇願するようなことが書いてあったりすると、「お金に困っていそう」と思われるかもしれません。また、支援者のメリットが明らかでないために、「こんなやり方でお金を恵んでもらおうなんて、なんて図々しい」と思われる心配もあるかもしれません。

前者については、お金に困っていそうだからといって、弱みにつけ込むかのように、投資話や情報商材の売り込みが増える可能性はあるかもしれません。「なぜクラウドファンディングを行うのか」という軸の部分をいつでも見える場所に掲示するなどして、ブレないように毅然とした態度を取り続ける必要があります。

後者については、第1回の応援、貢献、寄付の考え方や、お金の使い方について説明が足りていないか、あるいは本当に考えもなくノリでプロジェクトを立ち上げてしまったか、だと思うので、もう少し支援者側に立って眺めてみる必要があります。

なお、先述とは逆に、クラウドファンディングが未曽有の大成功に終わることを心配する気持ちもあるかもしれません。いわゆる宝くじに当選した時の心配に似た心境です。自分はそんな大金を扱えない。支援団体からお金をねだられるかもしれない。投資話をもちかけられるかもしれない。など、かえって生活が煩わされる心配をするかもしれません。

しかし冷静に考えてみると、プロジェクトで得られる金額は、大した金額ではないと思います。おそらくあなたが副業でプロジェクトをしていたとしたら、プロジェクトの成功報酬は、おそらくあなたの年収以下です。もし仮にあなたの年収以上の金額が集まったとしても、その金額を関係者に支払った後、あなたの手元に残る金額はいくらでしょう。その軍資金を元手に、あなたが今すぐ会社を辞めてこれまでと同じ生活をしたら、何年生活できるでしょうか。すべて開発に必要な資金です。

受け取った支援金の税金はどうなるか心配もあるかもしれません。以下のように解説してくれているサイトがあります。購入型の場合、支援金は売上、リターンは売上原価として処理するようです。ただ法人の場合は、市場価格より高い場合、その金額を寄付金として処理し、法人税の課税対象になります。(私もこれから経験するので、分かったところで追加したいと思います)
hanjo.biglobe.ne.jp


その他にも、いろいろな懸念点があるかもしれません。もし上記以外の懸念がありそうでしたら、私にも知らせて頂ければと思います。私も一緒に考えたいと思います。

クラウドファンディングのメリットを考える

第一回の内容を踏まえれば、失敗するリスクは減りますので、クラウドファンディングで全くメリットが無い、という点を心配する必要はありません。

クラウドファンディングを行うメリットは何があるでしょうか。

(メリットの例)
①資金が得られる
②広告になる
③プロセスをユーザーに楽しんでもらえる
④同じ分野のハードルが下がる可能性がある

それでは、メリットを見ていきましょう!

①資金が得られる

クラウドファンディングが成功すれば、最低限の開発資金を獲得することができます。

さらに、支援してくれる人が見つかったことで、世の中には思ったより助けて下さる人がいると実感でき、明るい気持ちになれるかもしれません。

ただし、オンラインからの支援に、あまり過度に期待しないことが大切です。資金獲得=目標達成ではありますが、クラウドファンディングには資金獲得以外に、後述するいくつかのメリットもあるからです。

また、クラウドファンディング自体に自ら積極的にチャレンジしたことにも価値があるので、その意味を見失わないようにすることが大事だと思います。あくまでも、資金が得られたらラッキーぐらいに考えておけば、必要以上にガッカリしなくて済みます。

②広告になる

クラウドファンディング上のランディングページ自体が、非常に安価な1つの広告媒体になります。

ランディングページに払う広告費は、成功報酬の5~20%ほどです。そしてランディングページはクラウドファンディングの後も残ります。そのため、仮に成功した場合は、それだけ第三者からの賛同が得られていることを示すことができ、あなたのサービスを知らなかった人が、あなたのサービスに足を踏み入れるハードルを下げることができます。

マーケティングの観点からも、仮にプロジェクトが失敗した場合は、大きい損失を出す前にプロジェクトに問題があることが分かるため、非常に効果的です。

③プロセスをユーザーに楽しんでもらえる

クラウドファンディングそのものが、一つのパフォーマンスでもあります。

クラウドファンディングは公開中だけが重要でなく、実際は開始の3ヶ月ほど前から準備を始めます。1ヶ月前にはリターンなどの告知なども行い、イベント前のような高まりを感じられる機会となります。何より良いのは、大規模イベントのように、開催時期が決まっているわけではないので、自分でイベントの開始と終了を設定できることです。

また、リターンの作り方次第ですが、開発参加型のリターンを用意することで、提供する成果物であるゲームだけでなく、プロセス自体も楽しんでもらうことができます。

例えば、自分がゲーム作りに携われる、ゲーム内の何かを決定する、ゲームに登場できるなどリターンは、気が付くと自分もいつの間にかプロジェクトの一員となっており、拡散効果も非常に高いと思います。

ただし、開発参加型のリターンは、第三者の意見を聞かないといけなくなるという意味でリスクと感じるケースもあると思います。無理に設定しなくても良いと思います。

④同じ分野のハードルが下がる可能性がある

先ほどの懸念事項を読んでいくと、前例があってもなくても、結局クラウドファンディングは止めようかなと思う契機はいくつもあることが分かります。

前例がなければ「どんな非難に遭うか分からない」、前例があれば「真似されたと思われるかも」「怒らせるかも」、だったらやめておこうかな、といった具合にです。

ただ、もし前例があるものに対して、それが前例の真似ではなく一つの新しいジャンルの台頭であると認識すれば、新しく参入したい挑戦者達の参入がどんどん増え、成功事例も増えるので、あなたが再びそのプロジェクトをする、あるいはあなたの知人が新しくプロジェクトを始める時のハードルを下げることができます。


何事も今までやったことがないものに挑戦する時には、躊躇してしまうと思います。

しかし、思い悩んでいるだけでは何かを生み出すことは不可能で、行動を起こしてはじめて意味があります。

チャレンジすること自体に意義がありますし、メリットとデメリットの両方を念頭に置き、まずは行動を起こすことに繋げてみましょう。この記事が、あなたの一歩を踏み出す助けになれば幸いです。その時は、ご一報いただければなお有難いです。

(この記事の執筆には、momiichanさまの協力をいただいています)